ベンズブロマロンの長期投与は認知症発症リスクを減らしますか

松江出張所便り

2023/12/30

〇導入 痛風は高尿酸血症を特徴とし、さまざまな合併症と関連する疾患です。高齢者の認知症リスクを増加させることも報告されています。認知症を発症すると機能の制限や生活の質の低下につながり、自立の喪失や死亡率の上昇につながる可能性があります。一般に、痛風の治療には尿酸降下療法が含まれ、キサンチンオキシダーゼ阻害薬や尿酸排泄促進薬が使用されます。しかし尿酸降下療法と認知症のリスクの関係は、これまで明らかでありませんでした。今回紹介する研究は、台湾国民健康保険データベースを使用し、この臨床疑問を検討した観察研究です。
〇はじめに 痛風は、炎症性関節炎の最も一般的な形態であり、尿酸ナトリウム結晶が関節やその周囲に沈着することによって起こります(PMID: 18634142)。これは高尿酸血症を特徴とし、血清または血漿中の尿酸塩濃度は、溶解度のおおよその限界である6.8mg/dLを超えます(PMID: 5027604)。痛風は、炎症性関節炎の再発、慢性関節症、扁平上皮沈着物の形での尿酸塩結晶の蓄積、尿酸腎石症など、さまざまな疾患症状を呈することがあります(PMID: 19692116)。急性の炎症と慢性の尿酸結石形成に加えて、痛風は糖尿病、高血圧、慢性腎臓病、心血管疾患などの様々な合併症とも関連しています(PMID: 22989425)。最近の研究では、痛風は高齢者における認知症発症リスクを17-20%上昇させることが明らかになりました(PMID: 30428833)。痛風の有病率はヨーロッパで2.5%、米国で3.9%と推定されています(PMID: 21800283, PMID: 25064615)。
認知症は、アルツハイマー病(60〜70%)、血管性認知症(20%)、パーキンソン病などの疾患によって引き起こされる重要な公衆衛生の問題です(PMID: 19585949)。さらに、認知症は機能的能力の制限や生活の質の低下と関連しており、自立の喪失や罹患率および死亡率の上昇につながる可能性があります(PMID: 16421113, PMID: 25358236, PMID: 25356673)。従って、痛風は認知症リスクの増加と関連しているため、予防と治療が重要です。

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